やりたいことがあるけど、うまくできない。できる気がしない。
そんな経験は、誰もが一度はあるのではないでしょうか。
また、多くの人は「自分に自信がない」と感じているのではないでしょうか。
かく言う私も、そのひとりです。
物心がつく前の子どもの頃、私たちは何にでもなれると信じていたかもしれません。
できないことに出会うと、怒ったり泣いたりもしていました。
それは、「本当はできるはずなのに」という確信があったからこそ、できないことに対して苛立ちが生まれていたのです。
思い返してみてください。幼少期に「できなかったこと」は、今では「できるようになったこと」がほとんどではありませんか。
話すこと、立つこと、歩くこと…どれも最初はできなかったけれど、やがて当たり前になっていった。
「できるようになること」は、もしかすると「当たり前かどうかの認識」の差なのかもしれません。
「できない」と「できる」の間にある前提の違い
探し物をするとき、「ない」と思って探すのと、「ある」と思って探すのとでは、見つかる確率が変わるような気がしませんか?
「ない、ない」と思って探しても見つからなかったものが、後になって見返すと案外目立つところにあったという経験、誰にでもあると思います。
これは、人の脳にある“RAS(網様体賦活系)”という情報フィルターの仕組みに関係しています。
私たちの脳には、視覚や聴覚といった五感からや、感情や思考といった、瞬時に非常に多くの情報が入ってきます。でも、それらを全部そのまま受け取っていたら、頭がパンクしてしまいます。
そこで、RASという情報フィルターで、『今、自分にとって大事なこと』を選んでいます。
これは、自分が意識しているものを情報として集めてくる仕組みでもあり、脳は「あなたが信じているもの」を現実として探し始める性質があるのです。
つまり、「ない」と思って探すと「ない証拠」を集め始め、「ある」と思って探すと「ある証拠」を見つけやすくなるというわけです。この違いは、行動にも成果にも、大きな影響を与えます。
「できないこと」は常識なのか?
「ある」と思って探しても、必ず見つかるわけではない。そう思う方もいるかもしれません。
確かに、「絶対にある」と信じ切るのは、簡単ではありません。
心のどこかで「本当にあるのかな」と疑っている自分がいる。
「やりたいことができるか、できないか」という問題も、同じような構造です。
できると信じたいけれど、どこかで不安を抱えている。失敗を恐れている。
これは、ある意味で仕方のないことなのかもしれません。
なぜなら、私たちは成長の過程で「できない」「失敗する」「向いていない」といった言葉を受け取りながら、自分を形づくってきたからです。
「努力は報われるよ」「頑張ればできるよ」
こうした言葉は、正論かもしれませんが、現実の中でどこか絵空事のように響くときもあります。
一方で、「できないこともある」「頑張っても無理なことだってある」そんな考え方に共感してしまう自分もいる。
これらの思考は、私たちの中に根づいた“常識”なのかもしれません。
小さな積み重ねが大きな成果を生む理由
では、「できない」という前提は、本当に正しいのでしょうか?
それは、思い込みに過ぎないかもしれないと、考えてみることはできないでしょうか。
「できていない」ことよりも、「できていること」に意識を向けてみる。
当たり前にできていると思っていたことが、実は“当たり前ではなかった”ことに気づけると、自分の可能性の扉がひとつ開きます。
「できる」と信じて動くことで、行動が変わる。
でも、無理やりポジティブになろうとすると、それはかえって苦しくなります。
なぜなら、「ポジティブでいなければ」と考えている時点で、「ネガティブな自分」を認識し、そんな自分を否定しているからです。
では、どうすれば自然に「できる」と信じられるようになるのか。
その鍵が、「小さな積み重ね」にあります。
長期の成長は、想像以上の成果を生む
人は1年でできることを過大評価し、10年でできることを過小評価する――
あるIT業界の著名人がそう言いました。
たしかに、私たちは短期の計画は壮大に立てがちなのに、長期の成長を見通すことは苦手です。
ここで注目したいのが「複利」の考え方です。
複利とは、利息に利息がつく“掛け算の成長”のこと。
これはお金だけでなく、自分への信頼や努力の成果にも当てはまります。
「1.01の法則」というものがあります。
これは、「1日1%の成長(1.01倍)」を365日続けると、1年後には約37.78倍の成果になるという考え方です。
ほんのわずかな努力でも、続けていくと大きな結果になることを示しています。
日常で、小さなYESを積み重ねる
「じゃあ、1日1%の成長って何をすればいいの?」と思うかもしれません。
その一つの答えが、「小さなYESを見つけていくこと」ではないかな、と考えています。
・朝、ちゃんと起きられた
・人に「おはよう」と言えた
・自分の考えを口にできた
・笑顔になれた
そんな些細なことでも構いません。
「自分はできた」と認識することが、次の小さな自信につながります。
1日で見れば、0.1にも満たないようなYESでも、1年積み重ねれば、それは確かな力になります。
そして、10年続ければどうなるか。
1.01の3650乗は…なんと約5929兆倍になるそうです。
「そんなバカな!」と思うかもしれません。そんな急激な成長なんてできないよ、とも考えるでしょう。
もちろんこれは理論上の数字です。時には、自分を傷つけることもあって、1%の凹みがって、0.99をかける日もあるかもしれません。
成長と後退や停滞を繰り返しながら、人って成長するものでもあるのでしょうね。
だから、あくまでも成長し続けたという数字上のお話です。
でも、きっとあなたも、私も、自分の中で小さなYESを積み重ねていった先に、
とんでもない自信を手に入れている日が来るのだと思います。
未来の自分を信じて
自分の可能性は、誰かが決めるものではありません。
自分自身の中にある「できるかもしれない」という小さな火を、毎日灯し続けることで、人生は大きく変わっていくのだと思います。
人の脳の仕組み(RAS)や、複利的成長といった“目に見えない仕組み”も、私たちの味方です。
だからこそ、焦らなくてもいい。
無理にポジティブにならなくてもいい。
今日のあなたが見つけた、小さなYES。
それが明日のあなたの背中を、きっと押してくれるはずです。
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