「自分とは何か?」そんなことを考えることがあります。なぜ自分は「私」だと認識できるのか。そんなことを考えていくと、もしかすると「違い」があるからこそ個が成立するのではないか、と思うようになりました。
たとえば、光と闇、暑さと寒さのように、相対するものがあるからこそ、それぞれを認識できます。同じように、他者との違いがあるからこそ、自分の考えや価値観が浮かび上がるのかもしれません。もし、この世界に違いがなかったとしたら、また、すべての人が同じ価値観で生きていたら、「私」という存在を意識することすらできないのではないでしょうか。
違いがあるからこそ、自分の輪郭が見えてくる。そう考えると、異なる価値観を持つことは、むしろ素晴らしいことなのかもしれません。
善意があっても、誤った行動につながることがあるかもしれない

ただ、違いを認めることの難しさを感じる場面もあります。人はそれぞれ自分の価値観に基づいて行動します。しかし、その価値観が誤った知識や偏った考え方に基づいていた場合、結果として誰かを傷つけたり、間違った方向に進んでしまうこともあります。
歴史を振り返ると、多くの争いが「正義」の名のもとに起こってきました。一方にとっては正義でも、別の視点から見れば侵略や暴力と捉えられることもあります。ということは、善悪とは本当に明確に分けることができないのかもしれません。
善と思っていたことが、時代や立場によっては悪と見なされることもあります。その逆もまた然りです。そう考えると、「絶対的な正しさ」は存在しないのかもしれないなと思います。では、どうすれば自分の選択をより良いものにできるのでしょうか?その答えのひとつが「違いを受け入れること」にあるのではないかと考えます。
違いを受け入れたとき、新たな世界が広がる

「違いを受け入れる」とは、単に「相手を否定しない」ことだけではなく、新しい価値観に触れ、自分の世界を広げることでもあると思います。
私自身、仕事や日常の中で自分とは違う考え方の人と出会うことがあります。以前はその違いに怒りの感情を持つことが多かったです。でも最近、視点を変えることを心がけていると「なるほど、そういう視点もあるのか」と思うことが増えました。そして、それを受け入れたとき、自分の視野が広がったと感じるのです。
また、お互いの視点が合わさることで、まったく新しい発想が生まれることもあります。違う立場や考えの人と対話することは、時には摩擦を生むかもしれません。しかし、それを乗り越えたときに見える景色は、以前よりももっと広く、豊かなものになっているのではないでしょうか。
違いを受け入れるための具体的なヒント

「違いを受け入れることが大事」と言われても、実際には難しいことも多いですよね。私も試行錯誤しながら考えてみました。その中で、実践しやすいと感じたポイントを紹介します。
① 「なぜ?」を問い続ける
相手の意見が自分と違ったとき、すぐに否定するのではなく、「なぜこの人はこう考えるのだろう?」と考えてみることが大切です。相手の背景を知ることで、意見の違いが納得できることがあります。
例:
仕事の場面で「効率よりも丁寧さが大事だ」と考える同僚がいたとします。自分は「スピード重視」だと思っていたとしても、「なぜ彼はそう思うのか?」を考えてみると、彼が過去にミスをして信頼を失った経験があるのかもしれません。そうすると、その価値観にも理解を示せるようになります。
② 反対意見をあえて受け入れてみる
違う意見を見たとき、「それは違う」とすぐに反論するのではなく、「そういう考え方もあるんだな」と受け止めてみると、新たな発見があるかもしれません。
例:
SNSで自分と真逆の意見を見たとき、すぐに批判するのではなく、「この人はどんな背景でこう考えているのだろう?」と想像してみる。すると、自分が知らなかった視点に気づくことがあるかもしれません。
③ 実際に「違う世界」に触れてみる
違いを理解するには、実際に異なる環境に身を置くのが一番です。異文化や異業種の人と話すことで、視野が広がります。
例:
・旅行をして異文化に触れる
・普段関わらない人と交流してみる
・本や映画で、自分が知らない価値観に触れる
④ 自分の「正しさ」に執着しない
「自分が正しい」と思いすぎると、他者の意見を受け入れる余地がなくなります。ときには、「自分にも盲点があるかもしれない」と考えてみることが大切です。
例:
職場で意見が対立したとき、「自分にも見えていない部分があるかもしれない」と冷静に考えてみる。
違いを受け入れることで、新たな世界が広がる

こうして考えてみると、違いを受け入れることは「単なる寛容さ」ではなく、「自分自身の成長」にもつながるのかもしれません。違いを認めたとき、お互いの視点が合わさり、新しい世界が広がります。
もちろん、すべての価値観を無理に受け入れる必要はありません。ただ、「違うことを知る」「相手の立場を理解する」という姿勢を持つだけで、人生の可能性は広がるのではないかと思います。 絶対的な正解はありませんが、こう考えることで、少しでも生きやすくなるのではないでしょうか。そう思うと、違いを認めることが少し楽しく感じられるかもしれません。
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