2024年は十干十二支で言うところの『甲辰(きのえ・たつ)』の年にあたります。甲は十干の始まりでもあり、芽が発芽したような状態を表しています。辰は「ふるう、ととのう」という意味があり、成長段階に入るための形が整ったという状態を表す言葉でもあります。つまり、2024年は今まで準備してきたことが形になっていく年でもあり、何か新しいことをはじめるのに良い年だと考えられます。
ただ、陰陽五行説においては、甲は『陽の木』で、辰は『陽の土』となり、この2つの関係は、相克の関係とされ、困難を伴う年でもあることを示しています。つまり、2024年は、色々な困難も訪れるが、萌芽してきたことを慎重に伸ばしていき、成長させていくのにふさわしい一年、となるわけです。(ちなみに十干十二支においての新年は本来、節分を迎えて新たしい年を迎えることになりますので、2月4日が甲辰の始まりになります。)
昨年は、大企業や政治家のモラルを疑うような出来事が続いた年でもありました。そして2024年の始まりは、能登半島における大地震や日航機の事故など波乱のスタートとなりました。また、世界に目を向けても、国際紛争に自然災害、貧困問題など様々な問題もあり、困難さを世界も日本も抱えた状態であることは間違いないでしょう。こんな今の時代は「VUCA(ブーカ)の時代」と表現されています。
VUCAとは、「Volatility(ボラティティ:変動性)、「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)、「Complexity(コンプレクシティ:複雑性)、Ambiguity(アンビギュイティ:曖昧性)の4つの頭文字をとった造語であり、今の世の中は、変わりやすく、不確実な状態で、複雑でもあり、曖昧さを抱えた時代であるという意味です。まさに、新しい何かに生まれ変わろうとする直前の混沌とした状態でもあるのかもしれません。
今の世の中は、情報過多の時代でもあり、真偽不明な情報が飛び交っています。テレビを見ていても、コメンテーターの言葉は、その人の感情からでた感想のようなものも多く、専門家といえども、今までに経験したことがない時代でもあるため、推測にすぎない発言も多いのです。このような混沌とした時代において大切なことは、自分の軸を持つことだと思います。
自分軸を持つということは、『自分の価値観』を大切にすることでもあります。『価値観』と表現すると、なにやら難しいことのように感じるかも知れませんが、簡単に言うと、『自分が大切にしている考え』というものになります。世の中は大きく変わりますが、その変化の波に自分が流されてしまうと、自分の大切にしているものも流されて無くしてしまうことに繋がります。時代の変化だからと、全てを変えていく必要はなく、伝統のように変わらずに次世代に繋げていく必要があることだって存在します。
自分の中の『大切にしている考え』を探っていくと、私は『繋がり』や『人の優しさ』、『家族』というものを大切にしたいと考えています。人と人との関係には、煩わしさも伴うものかもしれませんが、それでも、人と人との繋がりがもたらすものに、私たちは幸せを感じることも多いのではないでしょうか。そこには、他人を想う気持ちが内在し、その想いに気付くことで温かさを感じ、安心を感じることもあるでしょう。私は、阪神淡路大震災を経験した中で、人と人との繋がりがもたらす力の凄さと優しさを体験しましたし、仕事においても、お客さまとの繋がりによって自分たちの商売が成り立っていることを感じることもたくさんあります。だからこそ、会社経営の理念においても、こうした『繋がり』を大切にしたいとも考えています。
世界は、間違いなくグローバル化が進んでいます。買い物一つとってもネットで簡単に買い物ができる時代にもなりました。もう、Amazonで買い物をするなんて、当たり前のことかもしれません。また、日本の株式市場には、海外の資金が流入してきています。円安が進み、日本の実体経済は人口減少による厳しさが内包し、格差が広がっているにもかかわらず、日経平均が上がる見込みでもあるのは、日本企業の株主構成を調べてみていただければわかるように、日本売りが進んでいるとうことでもあります。これは、日本企業は海外投資家による資金が主要株主となっていることを考えてみるとわかることも多くあります。グローバル化の伸長と同時に、日本は衰退していきました。要因は様々なことがありますが、グローバル化が必ずしも私たちの生活に幸福をもたらすものでもないことも事実だと思います。
世の中の流れに流されてしまうと、知らないうちに自分が望まない世界になってしまう可能性もあります。また、子どもや孫たちの時代をより良いものにしたいと、多くの人が考えることだと思います。自分の力で何かが変えられるわけではないかもしれませんが、一人ひとりが自分の価値観を大切にしていくことで、2024年もそれ以降も、より良い時代が訪れるのではないかな、という期待もしています。
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