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2024年_今年をどんな一年にしたい?

2024年を迎えて、新年最初の出勤日に、新年方針発表を会社で社員全員に対して実施しました。決算月は3月なので、事業計画の発表は4月に行うため、新年方針発表は、具体的な売上数字や計画などは示さずに、今年一年間こんな考えで経営するよ、という指針を伝える機会としています。

また、事業計画を考えるとしても、今、日本は人口減少社会となり、今までのように右肩上がりの計画を立てることは困難な時代になっています。そのため、対前年比110%というように、経済が成長することを前提とした事業計画は意味を成さないものになってくるため、まずは1年の始まりに、数字ではなく、会社としての『在り方』を示したいと考えました。そして、その『在り方』を社員と一緒に共有できるのかが試される一年でもある、との密かな覚悟を持っての発表機会でもありました。

甲辰(きのえたつ)の年

まずは、2024年の干支は甲辰(きのえたつ)でありますが、この干支があらわす年はどんな一年になるのかを説明することから始めました。植物の生長と同じように、時代の流れも成長と発展、停滞と衰退、といったサイクルをもって変化していきます。易学にある陰陽の考えでは、『陽極まれば陰生ず』、『陰極まれば陽生ず』とあるように、陽と陰の気が重なり合ったとき、一つの変化が生じることになります。また五行では、木(もく)、火(か)、土(ど)、金(ごん)、水(すい)という5つの要素で成り立ち、循環していることで自然界は構成されている、と考えられています。

甲(きのえ)は、十干の始まりの年であり、植物でいうところの『種子が堅い殻に覆われているイメージ』です。種子が発芽する前の段階であり、辰(たつ)は、『辰(しん)は震であり振である』との語源にあるように、あらゆるものが動き出す状態を表しています。つまり、甲辰の今年は、殻を破って新しい生命力が生まれ、大きな力でもって成長進展していく一年であると考えられます。しかし、甲(きのえ)は『木の陽』、辰(たつ)は『土の陽』であり、木は土から養分を吸い取る関係であることから、甲と辰は相剋の関係にあります。相剋は、抑制して調整する関係でもあるため、バランスをとる必要がありながらも、困難な状況でも強い志を持って邁進していくべき1年でもあります。

当社の創業が昭和39年の甲辰であったため、ちょうど干支が一巡して還暦を迎える年でもあります。そう考えると、企業としても一つのサイクルを終え、今まで培ってきたものから新たなものを生み出し始める1年でもあると考えています。

日本や世界の情勢を考えてみる

今の社会を考えてみると、日本は先述の通り『人口減少の社会』となっています。これは、有史以来初めてのことで、飢饉や戦争などで一時的に人口が減った年はあったかもしれませんが、継続的に人口が減っていく時代を、日本人は経験をしたことがありません。日本人だけでなく、世界が経験をしていないことでもあります。また、政財界では不正・不祥事が続いていますし、税金や社会保障などの国民負担も増加しています。今までの経済や社会システムの歪みがでている時代でもあると思います。

また世界に目を向けても、ウクライナやイスラエルなどの紛争や、その他の地域においても紛争の火種があります。残念ながら、世界には戦争ビジネスがあり、復興ビジネスなるものも存在しているのが実情です。世界の人口のわずか1%の超富裕層によって、世界の富の大部分は占められており、そうした人たちによって世界の在り方が決められてしまっていることも、悲しいかな現実でもあります。今、新自由主義という名の下に世界の方向性は定められており、その先が必ずしも全人類にとって幸福の道ではなく、むしろデストピアへの道でもある可能性も高いです。

先ずは自分軸を持ち、そして調和へ

時代は、新しい状態へと変わろうとする混沌の中にあると考えられます。今までの資本主義経済が成り立たなくなり、新しい社会システムを作り出そうとしています。こんな時代だからこそ、世の中の変化に巻き込まれないよう、自分の価値観を認識する必要があります。自分が大切にしている考えは何なのかを理解し、その考えを自分の生き方の軸に据えて行動していく必要があります。それは、個人だけでなく会社も同じことだと考えます。

会社の存在理由は、お金を儲けるためではありません。社会の中において、人々が幸福に生きていくために存在しています。経済活動において、どうしても利益をあげることに目が行きがちですが、本当は社会に必要とされる存在となることで、持続的に必要な収益をあげていくことができるのです。つまり、社会に必要とされる、なくてはならない会社となるためには、どうあるべきかを明確にすることが重要です。

私たちの会社は、地域に根ざした会社であります。いわゆる地域密着企業においては、地域コミュニティを形成する存在でもあります。地域の人との繋がりがあって、経営が成り立っており、この繋がりを大切にすることが社会にとって必要とされる会社になれる重要な要素でもあります。当社が取り扱っているサービスは、家電製品や電気・空調設備、住宅設備の販売施工というジャンルになりますが、商品を提供しているというよりも、安心を提供している存在でもあります。

今の住生活において、必要とされる製品を取り扱っているわけですが、これらがないと日常生活に支障をきたすので、そうしたお困り事がないように、またお困り事が発生した時に速やかに対応する役割でもあります。そんな時に、自分たちの存在が、地域に住む人たちにとって、必要な製品を相談でき、適正な価格で購入し、確実な工事で取付をし、その後もアフターサービスを受けられるといった、安心できる存在として、社会に必要とされるという会社であることが大切です。そして、そうなることに喜びを感じるメンバーと一緒に実現したい、ということを社員に伝えました。

そして、そうなるためには、社員一人ひとりも自分が大切にする価値観を認識し、自分の価値観と会社の価値観が同じ方向を向いていることが必要です。そのため、価値観が同じ方向でない場合は、残念ながら他の会社に転職した方が良いとも思います。また、価値観が共有できたとしても、一人ひとりの考え方が自責で物事を考えることができ、自立した人間となることも必要であります。そして行動し、成功も失敗も経験することで自分を磨いていくことも大切です。

また、個人を磨くだけではなく、他人との調和がとれることも必要です。それには、相手を知ることが大切であり、その知ることの根底には『感謝』の心が必要でもあります。昭和の哲人でもある中村天風さんが、『感謝に値するものがないのではない。感謝に値するものを、気がつかないでいるのだ』という言葉を残されていますが、この世界は本来、感謝に溢れたものであり、全てがお陰さまで成り立っています。会社においては、同じ部門で一緒に仕事をしているもの同士の方が、他部門の人よりも共有している仕事が多いため、お互いに理解する度合いは高いと考えられます。それでも、上手くいかないこともあることも事実ですが、他部門の仕事であれば、なおさら、何をしているのか認識していないことも多く、視野が狭い場合だと、『なぜ、こんな風にしないのだ』という具合に批判的な思考や言動となることが起きやすくなります。

残念ながら、私たちの会社においても、営業と事務、工事部門との相互理解ができていないために、批判的な言動を見受けることがあります。また、社長と従業員という関係においても同じように相互理解が出来ていないことから起こる不協和音もあることでしょう。お互いが協調していくためには、自分を理解してと考えるよりも、相手を理解することに徹することが必要なのですが、どうしても自分を軸に考えてしまうのが人間の性(さが)なのかもしれません。

そこで、部門メンバーで、他部門への感謝に値することをグループワークで10個考えてもらうようにしました。同じ部門のメンバーでも気がついている人と、気がついていない人がいますが、グループワークを行うことで、情報の共有をしてほしいと思いました。自分が気がつかなかったことを耳にしたとき、受け容れることができるかどうかは、本人次第ですが、ただそうした機会を創出することで、何かの刺激にはなると思います。また、お互いに感謝していることを発表することで、感謝された側も『わかってくれている』という気持ちが芽生え、嬉しいことでもあると思います。もしかすると、まだまだわかっていない、と思うかもしれませんが、それはお互いさまのことであって、もっともっと相互理解が深まっていくきっかけとなってほしいと考えています。

『馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることができない』という格言にあるように、本人にその気がなければ、周囲が強制しても無駄ではありますが、そうした水辺に向かう機会を創出することが、今の自分に出来ることなのかなとも考えています。もちろん、これは私自身も同じことです。どうしても独りよがりな考え方になることもありますが、そんな時に、相手への感謝の気持ちを考えることが出来るようであろうと心がけています。

個人が変われば世界は変わる

より良い会社となるために、あるべき姿のビジョンを示していくことが経営者の役割であると思います。そして、そのビジョンに共有できるメンバーが、個人の力を磨いていき、その個人同士が協奏することで、より高いステージでビジョンを実現することが可能だと思います。そして、そんな会社が集まっていけば、社会もより良いものになっていくことも可能です。会社のビジョンと同じように、社会のビジョンも描きたいものです。私が描きたい社会のビジョンは、人と人との繋がりを大切にできる社会です。

正直なところ、私は人付き合いが苦手です。どこかで自分をさらけ出すことができないことが、その原因なのかもしれないですが、新しい出会いをつくることにストレスを感じてしまうこともあります。なのに、人と人との繋がりが幸せを作り出す、ということは事実であると認識しています。ここには、私個人の内面の問題があるのかもしれません。もしかすると、自分が理想とする社会ビジョンを実現するためには、自分が進化し、変わっていく必要があるのかもしれません。目の前の、『やりたい、やりたくない』の判断ではなく、自分のビジョンに基づいて、その姿になれるのなら、苦手なことでもやってみよう、という姿勢も大切なのかもしれません。

結局のところ、社員に会社のビジョンを示し、社員にも変わって欲しいと考えてはいますが、実際のところ、変わらなければいけないのは、自分自身です。他人は変えることはできなくても、自分は変えることはできます。そして、自分が変わることで、その影響を受けた周囲も何かの気づきで変化するかもしれません。自分軸をしっかりと持ち、行動することで、社会は良くなることを信じて、2024年を過ごしていく次第です。

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