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縦糸と横糸が紡ぐ感謝の経営

私が経営している会社が、多くの方のおかげさまで、創業から60年目を迎えることができました。もともとは、全く継ぐつもりがなかった会社ではあるものの、私が父の他界をきっかけに、事業を引き継いで12年目になります。社歴の5分の1を経営者という立場で過ごすことができましたが、創業者が9年、先代が39年という経緯なので、私は自分の会社というより“看板を預かっている”という気持ちでもあります。

看板とは、社名や屋号だけでなく、想いでもあります。経営者として、時代の変化への適応ということは必要ですが、幼少期からお客さまと接している両親の姿を見続け有形無形で引き継いだことでもあり、変わらずに大切にしていき、次代へと繋げていきたい“経営”への想いでもあります。

そもそも『経営』という言葉は、仏教用語だそうでして、

・『経』とは(縦糸:たていと)の意味だそうで「筋道や道理を通すこと」であり、

・『営』(いとなむ)は、それを「行うこと、行動に現す」ことだそうです。

そのため、『経営』を“布”に例えて説明されることも多くあり“正しい筋道や道理”(経)を縦糸にし、今という時代に適応するために“自由に変化しながら行動できる(営)”を横糸として、織りなす布が、その会社の伝統となっていきます。時が経っても変わらぬ大切な会社としての在り方の軸を次代へと引継ぎながら、時代に適応して変容していくことが、経営者として常に心がけていきたい姿勢でもあります。

私が、先代から引き継いだ縦糸は『感謝で繋がる』という姿勢です。ただ、商売をしていると、心が折れそうな時もあります。従業員や取引先との関係においてもありますが、お客さまとの間で、不測の事態が発生したり、他社の方が安いからと価格が折り合わず取引が成立しなかったり、また、ミスや行き違いからのお叱りを受けるなど、想いはあっても形にならないときなどは、誰かのせいにして、ふと愚痴りたくもなるのが人の性(さが)なのかもしれません。いや、自分の心の弱さかもしれないですね。でも、思い返すと、どんなときでも父は仕事の愚痴を家族の前で言葉にすることはなかったので、その姿勢たるや身内でありながらも敬意を払うところでもあります。

そんな姿を思い出すと、なんだかんだと言っても、お客さま、従業員、取引先など関わる全ての人がいなければ、自分も会社も存在することはできない、だからご縁がある人へは感謝の気持ちを持っていたい、と考えるようになりました。これは、この世に生を受けているすべての人に共通することなのかもしれません。誰しもが、目に見える見えない繋がりの恩恵の中で生きているのだと思います。

私はお客さまと、お互いの『ありがとう』という言葉で、一つ一つの取引が完結していけることを理想としています。つまり、お客さまと”感謝の気持ち“で繋がるような商売であり続けたい、と思っています。お客さまのお困り事を解消できたり、願望実現のお手伝いができたりすることで、お客さまから”嬉しい“、”良かった、“安心した”というお気持ちからいただけるありがとうの言葉に喜びを感じ、そしてお客さまが数ある中から当社をご利用いただけた事への感謝を、従業員とともに心からの気持ちでお伝えできるようであり続けたいです。

世界はグローバル化やデジタル化が進み、大きく変容していこうとしています。また、超過死亡数や出生率の低下など、日本はかつて経験したことのない、人口減少の時代に入っており、移民政策拡大とも捉えられる政策がどんどん進められています。ただ、その是非は別にして、私たちは時代が変わる瞬間を目の前で体験しているのだと思います。私はそんな変容する時代だからこそ、変わらずに大切にしていきたい想いを次代に繋げていけるようでありたいと思います。何年、何十年先になるかわかりませんが、私が受け継いだバトンを何らかの形で次世代に引き継げるようでありたいという想いで、みなさまとのご縁も長く続くことを願い、創業60年目を過ごしていきたいと思います。

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