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火事場泥棒が幅を利かせるこの世界

私たちにとってショッキングな出来事が起こり、ニュースやワイドショーなどテレビや報道がその話題で一色になったとき、私たちが知らないうちに、私たちの未来に関わること決められていたり、国の宝が奪われていることをご存じでしょうか。そうした政治手法を『ショック・ドクトリン』と言います。

ショック・ドクトリンとは、テロや戦争、パンデミックや金融危機、自然災害など、ショッキングな事件で国民が思考停止している隙に通常は反対されるような法律を導入し、社会を一気に作り変えてしまう手法。

ナオミ・クライン(カナダ人ジャーナリスト)

堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法

堤 未果/著

「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊

幻冬舎ホームページ 書籍詳細より

芸能人の大麻所持による逮捕ニュースの裏で、勝手に増税できる法案が通っていた

芸能人が麻薬所持で逮捕されたというニュースを見かけることは多いですよね。ついこの間も某俳優が大麻所持で逮捕されました。他にも、歌舞伎役者のニュースだとか、元アイドルの不倫ニュースだとか、テレビでは連日、こうした芸能人の不祥事が話題で持ちきりでした。実は、テレビがこうした話題一色になったときに、重要法案がしれっと採択されていることをご存じでしょうか。

ちなみに、某俳優が大麻所持で逮捕された2023年6月19日、参議院で『財源確保法』が成立されました。この財源確保法は、防衛費を増額するときに、消費税・法人税・所得税・タバコ税などにより財源を確保するという法律です。これにより政府は簡単に増税できる方法を確立できました。

過去に大物芸能人が結婚したとか、不倫したとか、大麻で捕まったなどワイドショーで視聴率が稼げそうな内容で、国民の意識がこうした話題への意識が高まっている時には、重要法案が採択されていることは多いです。新聞やニュースなどで取り上げられたかどうか、わからないくらいにひっそりと決まっていく。こんな現象も『ショック・ドクトリン』の手法の一つでもあります。

世界の様相が大きく変わった9・11事件によるショック・ドクトリン

今、『監視社会』が猛烈なスピードで広がっています。町中にあふれる防犯カメラなどもそうかもしれませんが、携帯電話の通話やグーグルなどの検索エンジンでの履歴や、Amazonなどでのネットショッピングによる履歴、私たちの日常の行動パターンは主にスマートフォンを介して情報が収集されています。それにより、一人一人の思想や思考パターン、行動パターンなども誰かに把握されているかもしれません。いや、把握されています。

こうした個人の情報を企業が活用できるようになったのは、2001年9月11日に起こった、いわゆる『アメリカ同時多発テロ事件』以降です。(ちまみに、現在ではアメリカ人の多くはワールドトレードセンターに飛行機が突っ込んだことに懐疑的な考えをもっていると言われていますが、その話題はまた別のところで…)この時、『テロと戦う』というスローガンのもと、監視体制に関する法整備が整いました。そして、その監視体制は今もずっと続いています。

本書の著者である堤未果氏は、この9.11事件の日に、崩壊するワールドトレードセンターの近くのビルで仕事をしており、未曽有の大惨事の渦中にいて、何とか無事に生還することができたそうです。そして、その後のあまりにも劇的に変わりゆくアメリカの姿に失望感で立ち直れないくらいの心的外傷後ストレス障害に悩まされたそうです。

9・11事件の真相はともかく、この事件によって世界中が恐怖とパニックに包まれたことは事実です。そして、テロ対策と銘打った様々な施策により、その後の世界は大きく変わることになったことも事実です。こうした手法が『ショック・ドクトリン』というものですが、この変化が意図されたものであったとしたら、私たちは気づかぬうちに、後戻りできない世界へと導かれていることになります。

CIAの拷問マニュアルを国家に応用して編み出された

1940年代、医学と精神医学において飛躍的進歩により、精神障害の治療に『電気ショック』という新しい技術が導入されました。その後、世界は共産主義と資本主義が対立する東西冷戦構造となりました。そうした中で、西側諸国が頭を悩ませていたことに、捕虜となった人物を洗脳し諜報員として活動させる、という共産主義国家による『洗脳手法』があり、西側諸国のCIAなどの諜報機関が共産主義国家による『洗脳手法』を研究していく中で、カナダ国防省からの資金提供により、アルバイトの学生が集められた、ある実験が秘密裏に行われました。それは以下のようなものでした。

視覚、聴覚、触角を奪われた状態で何日も過ごした学生は、「極度の混乱と幻覚」や「著しい知的能力の低下」を起こし、その後聞かされた録音テープのメッセージに「驚くほど受容的」になったのです。それは、あたかも、感覚が奪われたことで彼らの心の一部が消去され、そこに新しいパターンが上書きされたかのようでした。

NHK出版 NHKテキスト 100分de名著 6月号 ショック・ドクトリンより

こうした実験は倫理的な問題も多く含んでおり、一度は実験が中断されましたが、精神科医のユーイン・キャメロンがCIAの資金提供により、拷問ともいうべき恐ろしい人体実験が続けられました。これによりターゲットの精神を破壊し白紙にしてから洗脳するテクニックが満載の『CIA拷問マニュアル』ができあがりました。

こうした実験が行われていたことは、信じがたいことでもありますが、情報の隠蔽から、国民を救うための法律でもあるアメリカの『情報公開法』によって、白日の下にさらけだされた事実でもあります。そして、この手法を個人ではなく、国家に当てはめることができないかと考えたのが、シカゴ大学経済学部教授のミルトン・フリードマンでした。それは、激しいショックで社会を国民を麻痺させ、思考停止している状況の時に、速やかに社会を自身が望む方向に誘導させる施策を決定するというものです。まるで火事場泥棒のように、どさくさまぎれに人のものを奪うように、『ショック・ドクトリン』により大儲けしている人や企業が存在しているのです。

選択肢が一つしかないという論調になったときは要注意

日本において大きなショック・ドクトリンは、2011年3月11日に起こった東日本大震災です。この未曽有の災害によって太陽光発電利権が生まれました。そしてこの問題は、今の電気代高騰の問題にも繋がっています。その他にも、復興支援という名目で、私たちが良く理解することがないまま、成立した法律などが多くあります。響きの良いスローガンによって、一部の人や企業が大儲けする仕組みができあがって行きました。

最近では、世界中を巻き込んだ新型コロナウイルスによるパンデミックもそうでしょう。この時の世の中の論調は、画一的なものであり、別の意見や考えを述べることさえ憚られ、いわゆる御用学者の方たちが専門家やコメンテーターとして、ニュースやワイドショーに引っ張りだこでした。テレビや新聞などの大手マスメディアでは、報道されない様々な問題も起こっていましたが、YouTubeやツイッター、FacebookなどのSNSでは言論統制とも言える手法で、大手メディアでは伝えられない情報が遮断されていきました。

スーパーシティ法案や銀行法の改正、民営化という名目でどんどん外国資本に切り売りされていく日本の財産…国防上大切なエネルギーや水道までもが外国資本の傘下になりつつあるのが日本の現状です。さらには、マイナンバーカードや昆虫食なども担当大臣は自分と反対の意見をもつ一般国民さえ、ツイッターなどのSNSでブロックするというありさまです。NHKではコロナワクチンによる被害者を、まるでコロナウイルスにより亡くなられたと誤認するような放送をして問題にもなっていました。

その他にも、イラク戦争やスマトラ地震など世界中で『ショック・ドクトリン』によるゲームチェンジが進められてきました。これらの問題は、私たちだけではなく、私たちの子供たちの世代にこそ重要な問題となりうるものです。私たちが、自分たちで情報を集め、考え、判断していくことを増やしていかなければ、私たちの子供たちの世代はますます自由を奪われたディストピア(暗黒世界)を生きていくことになるかもしれません。私は、今を「終わりの始まり」にしたくはありません。

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