健全な人は、相手を変えようとせず自分が変わる。
アルフレッド・アドラー
不健全な人は、相手を操作し、変えようとする。
人の悩みは、ほぼ対人関係から生じています。ただ、生きていく上で人との関係はなくてはならないものであり、喜びも怒りも悲しみも楽しみも、全てが人との関係において生じていると思います。
私はいつも『あいつはわかっていない』といったようなことを発言していたかもしれません。自分には非がないと考えがちなのが人の性なのでしょうか。だから、相手にわからせてやろう、とか相手の考え方を変えてやろう、といった対応をしてしまいます。でも、それが上手くいかなくて、相手の反応や態度が自分の思うとおりに変わらないから、また腹が立つ。結局、そんなことの繰り返しをしているのではないでしょうか。
アドラーが言う『他人を変えることは難しい、変えられるのは自分だけ』という考えに触れたとき、やはりすぐには受け入れられることではありませんでした。だって、自分は悪くないという考えが念頭にあるわけですから。でも、冷静に考えると、確かにそうなのです、人の考えを変えることよりも、自分の考えを変えられる可能性の方が高いことは、どこかでわかっているのです。
人それぞれに考え方があって、それぞれに大切にしていることが異なり、それぞれに正義がある。だから、トラブルの原因を相手に求めることは、問題解決には繋がらないと思います。自分の正義を貫こうとして、相手の対応を変えることは困難であると同時に、かなりの時間や労力がかかります。そして、その割に相手は変わることはありません。だったら、自分が変わることにエネルギーを使う方が断然良いのではないでしょうか。
どちらかが悪いとか、善悪二元論で物事を考える必要はないと思います。どちらにも正義があり、どちらもそれぞれにとって、ただ良いと思う反応なのです。しかも、人は一人ひとり違う人生を歩んでいるのだから、善悪のジャッジを下す必要なんてありません。それに『あなたのため』と思ってとる言動も、根本的には自分にとって都合よくなるためのことだったりもするのです。人は、どうしても自分の中の正義を中心に考えがちなのかもしれませんね。
自分が変われば、世界は変わる。相手を変えることに意識を向けるのではなく、どんな状況にあったとしても、今の自分ができることに意識を向けて、例え小さなことだと思ったとしても、目的は何かを考えて、そのために今の自分ができることをやるしかないのかもしれません。また、自分の振る舞いを変えていくと同時に、相手を尊重する気持ちも持って、人と接することができると良いのかもしれませんね。
<参考文献>
アルフレッド・アドラー
人生に革命が起きる100の言葉
小倉 宏:解説/ダイヤモンド社アルフレッド・アドラーはフロイトやユングとも並び称される心理学の巨人でありながら、日本での知名度は低い。しかしながら『7つの習慣』や『人を動かす』をはじめコーチングやNLPの源流でもあり、いわば「自己啓発の父」とも呼べる存在だ。本書はそんなアドラー心理学を「超訳」し、名言集としてまとめる。
ダイヤモンド社ホームページより
コメント