「24時間365日仕事のことを考えろ」
20代の頃に努めていた会社の社長の言葉だった。
この言葉で、僕は成長をしたが、苦しみもした。
経営者感覚を持って仕事をしなさい、という社長の教えの一つとして、この言葉があった。
僕は素直に、常に実践していこうと考えていた。
できていなかった時には、社長から責められもした。
『こんなのじゃ、駄目だ…』
そして、何度も自分責めもしてきた。
自分が経営者になってからも、この言葉を実践してきた。
エンドユーザーを対象とする商売だから、本当に365日仕事をしようと思えばできるのだ。
長期の休みであっても、お客さんからの電話をとり、対応していた。
『困っているのだから、役に立てるのなら』と自分を励まして続けていた。
でも、どこかで苦行になっていることも自分で感じていた。
そして、むしろ苦行こそ乗り越えなければいけないことだ。
自分を犠牲にしてでも、誰かのために生きるのだと、
さらに自分を追い込んでいた。
すると、仕事が楽しくなくなってくる。
『誰かの役に立ちたい』とか、
『自分の周りの人を幸せにしたい』とか、
そんな気持ちが自分の中にあることは事実なのだけれども、
追い込めば追い込むほど、仕事が苦しくなっていた。
そして、そんな想いと、
行動しているときの気持ちに“ギャップ”があることに気づき、
自分の本心がわからなくなって、苦しむようになった。
仕事の楽しみもあるのは事実なのだけど、
だんだん苦しみの方が大きくなってきてしまって、
他人から見ると、辛そうに仕事をしているように見えていたと思う。
すると、自分の周囲もそんな雰囲気を感じ取っていくのだ。
そしたら、自分の近くにいる人たちも仕事をすることがしんどくなってしまう。
でも、彼らもそんな状況ではいたくないから、
無意識のうちに自分に対しての反発も生まれてくる。
この負のサイクルから離れるためにはどうすれば良いのか。
結論としては、『自分の状態』を整えることである。
では、どうやって?
これが結構難しかった。
自分の状況を見て、ポジティブに捉えていくこともした。
『幸せ』探しもその一環だ。
日常のささやかな中にも幸せは必ずあるから、それに目を向けていく。
確かに、これで少しは改善していったが、実は、ちょっと無理もあった。
無理矢理に『幸せ』だと思い込もうとしている自分に気付いているから。
そうした経緯で、今、自分の中で変わってきたなと実感できるようになった方法が、
『自分をねぎらうこと』と『自分の意欲を知ること』だった。
自分をねぎらうことは、結果がでていなくても構わない。
気持ちがあるだけでも素晴らしいことなのだ。
生きているかぎり、人は何かの意志があって行動しているわけで、
その自分の意志を、自分がちゃんとねぎらい、ほめてあげること。
そうすると、自然と気持ちが楽になってくる。
結果がなくても、自分の意志を大切にしてあげることは、
自分の活力につながっていることを感じた。
自分の意欲を知ることは、感情が出たときに客観的に自分を見ることから始まった。
特に、怒りの感情は『意欲』が原因であるそうだ。
何かの意欲が阻害されたと感じるから、怒りという感情が生まれる。
ならば、その『意欲』に意識を向けることで、
自分がどうしたいのかを理解することができるというわけだ。
(ちなみに、これらの考え方は、犬飼ターボさんが主宰しているセンターピースセミナーにて学ばせていただいたものである)
自分を成長もさせ、苦しめてきた。
「24時間365日仕事のことを考えろ」
という言葉の捉え方が変わってきた。
『仕事を自分の人生を幸せに生きるための意欲に内包する』
という具合に。
『自分を犠牲にして、がんばる』ということではなく、
『自分の意欲』を満たしていくことに意識を向けるようにしていっている。
こうなったときに、自分の『人生の目的』は何かということへの探求がでてくるのだが、
このテーマはまた、改めて綴ることにしよう。
昔に流行したCMのように『24時間戦う』のではなく、
『24時間、自分の意欲を満たしていく』ようでありたい。
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