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思い出の曲は、遠い過去を呼び戻す

過去の出来事をどのくらい覚えていますか。どんな人にも、良い思い出や、嫌な思い出があるのではないでしょうか。かく言う私も、恥ずかしい思い出や後悔する思い出もあり、その時期の自分って悪いことばかり続いていたなと思うことがあります。

人は過去の思い出に縛られていることがあります。あの時に、別の選択肢をとっていれば今の人生は良くなっていたかも、と思うこともあると思います。でも、自分が過去に選んだ道は、そのときは例えどんなに辛い経験だと思ったことでも、自分にとって正しい選択であると教えられたことがありました。そしてその選択は、自分が選んだものなのだとも。

人は、過去の出来事を今の自分なりに意味付けをしています。自分の現状がこうなのは、過去のこんなことがあったからだというように、人は過去の出来事全てを覚えているのではなく、ある種自分の都合が良いように(時には、悪いように)解釈して、過去のワンシーンを覚えているのだと。なかなか、そのことを理解することができなかったのですが、自分が忘れていた過去の感情を思い出させてくれる出来事がありました。

先日、仕事の関係で北海道に行く機会がありました。札幌での夜、美味しい食事とお酒をごちそうになり、その後、同行いただいた方にビートルズを演奏してくれるライブハウス『B×ATLES(バットルズ)』というお店に連れて行っていただきました。

札幌ビートルズ専門ライブハウス – The BEATLES Live House 「バットルズ」すすきの駅5分 各種パーティプラン&クーポン券あります (batles.xii.jp)

食事の締めに、ラーメンを食べに行こうと歩いていたところ、『B×ATELS(バットルズ)』でボーカルをしている方と偶然すれ違い、今回北海道旅行に連れてきてくださった方が『あっ!バットルズのお兄さん!』と声をかけたことから、ラーメンの予定を後回しにして、お店に行くことになりました。

そのお店では、ビートルズの曲をリクエストすると演奏していただけるシステムになっています。曲の合間のトークも面白いですし、演奏前に曲の背景を説明いただけるので、ビートルズをリアルタイムで経験していない私にとっては、『へぇー、そうだったんだ』と感心することが多くありました。

中学生の頃にビートルズを聞き始めました。その時は、思春期のちょっと背伸びをしたような気持ちになって、洋楽を聴き始めた一歩目としてビートルズを聞いていました。中学を卒業する頃には、あまり聴くことはなかったのですが、大学生になった頃、何かの拍子に改めてビートルズに興味を持ち、通学中に『MDウォークマン』でよく聴いていました。

私にとっての大学時代は、どちらかというと苦難が多く、思い通りに生きていけていない時代という記憶です。ほとんど、良い思い出ではありませんでした。当時、第一志望の大学に進学することができず、私立の大学に通うことになり、両親の商売が一番厳しい時代でもあったため、学費の負担もあり、日々バイトをしていました。大学に通うために、学費や交通費、日々の昼食代を稼がなければいけない事情もあり、毎日、学校帰りにアルバイトに行き、夏季や冬季の休みなどは、朝から晩までアルバイトという日々でした。

量販店の出店が相次ぎ、地域家電店の商売は厳しいものになっていったと思います。そんなタイミングで、店の移転をしていたものですから、借入金の負担も増え、毎月の支払の資金繰りにも四苦八苦していたと思います。そんな状況であったため、金策の一環として、私のアルバイト代もあてにされるようになっていきました。アルバイトの給料日が丁度仕入先の支払日と同日であったため、朝、給料が入る予定の銀行のキャッシュカードを親に渡し、夜に残高が空っぽになったカードが返ってくるという切なくなる月も多くありました。

そんな自分の境遇と、大学生活を満喫している友人を比較して、羨ましくも軽蔑もしていたと思います。当時は、まだバブルの面影が残っていて、トレンディドラマ全盛の時代でもありました。どこかでそんな華やかなイメージを大学生活に描いていましたし、そんなドラマのシーンが当たり前にあるような感覚を持っていたのかもしれません。コンパやサークルに旅行など、大学生のうちしか遊べないから遊ばないと、などと話をしてくる同級生もいたりして、そんな世界とは一人かけ離れた世界に生きているような気持ちになっていたと思います。

そんな時代に一番聞いていた曲がビートルズでした。『B×ATELS(バットルズ)』で自分がリクエストした曲を演奏してもらったとき、大学生の頃の思い出が頭の中をかけめぐりました。そんなとき、二十歳そこそこの自分は、何かを求めて一生懸命に生きていたな、と感じることができました。

一人で向き合う時間が多かった大学生の頃、とにかく本だけは読もう、と通学中の電車の中やバイト前のちょっとした時間に、公園のベンチに腰掛けて、本を読んでいたことを思い出しました。なんだか、そんな時代の自分を愛おしく思ってしまって、よく頑張ったな、おかげで今の自分がいるのだよなと、昔の自分に感謝する気持ちになりました。

人は誰しもが『今』という時間を、自分なりに精一杯に生きているのだと思います。思い出の曲は、昔の記憶を呼び覚ましてくれる不思議な力をもっています。あの頃に思い通りにならないジレンマを抱えながらも、自分ができる精一杯に生きていた自分がいたからこそ、今の自分がいる。自分の歩んできた道は、決して間違いなんかじゃない…ビートルズのサウンドが、昔の自分を呼び戻してくれた札幌の夜でした。

こうした機会を作っていただいたご縁にも心から感謝です。





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