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動機が善であることの重要性—稲盛和夫さんの教えを自身の経営にも

動機善なりか私心なかりしか

この言葉は、京セラの創業者であり、日本を代表する経営者の一人でもある稲盛和夫さんが、経営において何よりも大切にしていた信念を表す言葉です。稲盛さんは、経営の中で「利他の心」を重視されていたそうです。利他の心とは、他人のために尽くす心であり、稲盛さんは、この利他の心を持つことが、最終的には自分自身の成長や成功につながると考えられていたようです。そして、この「動機善なりか私心なかりしか」という言葉には、何かを行う際には、その動機が善であり、私心がないかどうかを問い続けることの重要性が込められています。

私がこの言葉と出会ったのは、30代前半の頃で、その時はまだ会社を経営する立場ではなかったのですが、心に響く言葉であり、何かの判断基準とするよう心がけるようになりました。それは、経営者の立場になってから、何かと判断する機会が多くなり、意識する頻度が高くなったように思います。

会社経営は、一人の力で成し遂げることはできず、社員や取引先、更にはお客様といった多くの人々との協力と信頼が必要だと考えています。動機が善であり、私心がない状態を保つことは、こうした会社経営を通じて関わりを持つ人たちから信頼を得るための基本でもあると考えています。

しかし、現実の経営においては理想通りにいかないこともあります。お客様に喜ばれる存在でありたい、従業員にとっても喜びを感じることができる会社でありたいという想いを様々な形で言葉にすることがありますが、時に自分の不手際もあり、こうした想いに則した行動になっていないと指摘されることもあり、できていなかった自分を責め、落ち込むこともあります。

そんな時は、自分も人間だから、ミスや不手際もあるよ・・・と言い訳をしたくなる気持ちになることも嘘ではありません。時には、悔し涙を流すこともありました。でも、指摘いただけることは本当にありがたいことなのだな、とも思います。それは、その指摘に期待があるのかもしれないと感じるからです。

私が経営する会社は、稲盛さんが経営するような大企業ではなく、影響力は小さなものかもしれませんが、それでも私は「動機善なりか私心なかりしか」の言葉を胸に刻みながらの経営者でありたいと思います。経営は一瞬の成功ではなく、長期的な信頼の積み重ねだと思います。一つ一つの失敗と感じるような出来事も、きっと自分が思い描く姿へとなる過程において必要なことなのかもしれません。その出来事の自分の捉え方一つで、ありたい自分の姿へと近づけるものなのだと考えています。

まずは、自分の理想とする姿を描くことが重要です。そして、自分の日々の振る舞いがその理想の姿に近づけば、きっと実現していけるのだろうと思います。日々の中でも、そんな想いが小さなことでも実現できたと感じるときは、心から湧き出るような喜びを感じることができるのですから、きっと自分には大切にしたいことなのだとも思います。

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