今回は、苫米地英人著『「脱常識」力』を読んでの感想です。私たちにとって常識とは、それがもう当たり前のことになりすぎて、疑う余地もないものとなっているものです。
しかし、世の中のいわゆる『常識』というものに一切疑うことなく、信じ切っているのならば、この状態は『思考停止』になっているともいえるのではないか。私は、本書を読んでそのように感じました。
思考停止なっているがゆえに、『常識』が当たり前のこととして、その『常識』を元に論理を展開していてしまいます。だって、『常識』なのだから、と一切の疑いをもっているから、『常識』に対しては、疑問に感じることもありません。しかし、万が一この『常識』がある種の刷り込みや、プロパガンダによってもたらされたものであったとしたら、それはとても危険なことになります。
もし『常識』が本当は正しくなければ、積み上げてきた論理展開はすべて間違ったものになります。だから、『常識』は本当に正しいのかどうか、ということを疑うことも必要なのかもしれません。もし、『常識』に色々な矛盾に気づくことがあると、その矛盾に気付いた時に、真実が見えてくることだってあるかもしれないです。だから、『常識』を疑うことが大切であり、『常識』が本当に正しいことなのか、間違ったことなのか、の思考をもって、事実を検証し、疑問を持ち、思考し、でてきた考えから、新たな考えを膨らませていただければいけないのだと思います。そうすることで本当のことが、わかるようになるのかもしれません。そう、『常識』は誰かが恣意的に作られた知識なのかもしれない、と疑いをもつことも必要なのです。
本書はそんなことに気づかせてくれた一冊でありました。
本書で取り上げている、疑うべき『常識』として、以下の項目をあげ、それぞれについて説明がされています。
① 携帯電話
② 学校教育
③ マスコミ
④ 環境問題
⑤ 紫外線
⑥ 運動
⑦ 有機野菜
⑧ デフレ
⑨ 日本(日本は独立国である)
この項目の中で、洗脳に大きな影響を与えている『マスコミ』は、スポンサーや株主の意図や思惑もあり、『マスコミ』の報道が全て正しい、と考えるのは間違っていると、思います。それでも、マスコミの影響力は大きく、人への心理作用に関するテクニックも見事なものだから、ショッキングな映像や、さも正しそうな言葉によって、『常識』と洗脳されていることも多いです。かく言う私も、疑いの目で視聴しながらも、洗脳されていることもあるのだろうな、とも思います。
本書では、『少子高齢化』についても述べてありますが、『少子高齢化』が問題だと思っているならば、確実に洗脳された人である、と著者は断言しています。『少子高齢化』が問題とされる理由として、『GDP』と『年金』があげられます。『GDP』ば、経済成長率を示していますが、『GDP』は人口が多ければ、高くなりやすいのでありますが、『GDP』の問題は、どこかで世界第2位や3位の経済大国だ、といったことが問題の中心になってしまっています。しかし、国単位ではなく、地球単位で見れば、少子化は問題ではありません。
また、『年金問題』も少子化が進めば、労働者が減ってしまい、将来年金として払うお金が足りなくなるから問題である、という話なのですが、この問題は、そもそも人口の問題ではなく、『財務』の問題であります。本来は、年金は自分が払ったお金が戻ってくる話なのですが、本当は『年金』といして集めたお金を無駄遣いし、また時には、役人の着服や政治家の私腹を肥やすのに使われてしまったことが問題なのに、いつの間にか論点がすり替わってしまっています。人の命(人口)の話をしているのに、いきなりお金の問題にすり替わっているのが、『少子化問題』なのです。
他にも、『地球温暖化』に関する常識や『日本は独立国である』という常識も、今まで自分が『常識』と思っていたことが、『常識』ではない、という気付きもあり、本書を読んだ後、世の中を見る目が変わりました。
本書が発行されたのは、2014年ですが、今読んでも新鮮に感じることが多くありました。本書に書かれていること全てを鵜呑みにするわけではありませんが、ただ『常識』に縛られた思考をしていては、自分の軸を持って、楽しく生きていくことに繋がらない、ような気がしています。自分は、今まで『洗脳』されていたのだなぁ、とも感じた一冊となりました。
『常識』から脱し、生き生きとした自分軸をもった人生を歩んでいきたいものです。
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