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『平和』が『戦争』に勝つことは難しい?

今回は、林千勝著『日米戦争を策謀したのは誰だ!』を読んでの感想です。

『歴史は勝者によって作られる』ということは、よく言われることです。
自分と反対の立場にあった人や勢力の事実を歪めて、自分の正統性を示すことなんて、過去の歴史においても多くあったであろうことは想像に容易いことだと思います。

中国の王朝の変遷による歴史書などは正にその典型だと思いますし、日本の歴史においても、例えば最近『石田三成』の評価が変わってきていますが、これなども江戸時代に勝者によって作られた『石田三成像』というものがあったのだと思いますし、他にも多くのことがあります。

そして、この勝者によって作られた歴史は、自分には直接的に関係のない過去の話だけでなく、当事者として、事実を隠された歴史、歪められた歴史認識を学んできており、その影響下にいることが、現在進行形でもあることを、今回の読書、『日米戦争を策謀したのは誰だ!(林千勝 著)』によって気付かされました。

私は、大東亜戦争(敢えてこの表現を選びます)が起こったのは、『軍部の暴走』で、東条英機が最大の戦犯である、ということを子どもの頃に習った記憶があります。そのことに何の疑いもなく過ごしていましたが、大学受験で世界史を学んでいく中で、『ABCD包囲網』という言葉を知り、世界大恐慌以後の世界において、資源を持たない日本が戦争への道を進むことは歴史の流れとして致し方ないことだったのかもしれない、と思うようになりました。

ただ、その時でも『侵略戦争』であったという考えは、私の中では『常識』でしたが、南京大虐殺や従軍慰安婦の問題については、ねつ造であるという話も見聞きし、世の中にあふれる情報は、全てが真実ではなく、恣意的なものもあるだろうと思うようにもなっていました。

そして、いわゆる『東京裁判』において、インドのパール判事が被告の全員無罪を主張した話を知ったとき、戦争はどちらか一方が完全な悪であるわけではない、という認識を持つようになりました。東京裁判が、戦勝国のみで構成される判決結果ありきの茶番劇であると理解するのに、心理的抵抗はなく、自分の心にすんなりと受け入れられる考えでもありました。

世界における目に見えない時代の流れというものがあり、その中で、それぞれの利権がぶつかり合い、それぞれの正義の主張が対立構造を深めて、武力的な衝突が起こるのが戦争だと思っていました。また、アメリカ合衆国に『軍産複合体』なる、金儲けのために戦争を引き起こそうとする概念と構造があり、この『軍産複合体』の存在が世界平和を遠いものにしているという考えがありました。

この本を読んで感じたことは、今まで自分が学んできた歴史とは違う視点から語られる歴史を知らなければならないということです。本書で語られる日米戦争を引き起こしたキーマンが、フランクリン・ルーズベルトと近衛文麿であります。そして、ハーバート・フーヴァー、ロックフェラーについても語られ、それぞれの考えや思惑、そして彼らに関わる人たちとその人たちの思惑が書かれています。

その中でも、私の中では『近衛文麿』という存在と彼の野心が日本を戦争の道へと歩ませた原因であるという考えに触れたことは、自分の中での新しい発見であり、戦前戦中の日本は、『軍国主義』一色に染まっていたと思っていたが、実は『共産主義』の思想が大きな影響力をもっており、『敗戦革命』の道へ進ませる力が働いていたことを知ったことも、自分の考えが広がることに繋がりました。

大東亜戦争において、日本は定石通りに戦えば勝ったかもしれない、という考えがあるそうです。そしてその定石で考えると、アメリカとの戦争は回避すべきというのが基本にあって、真珠湾攻撃に至ったことは、日米開戦を意図したフランクリン・ルーズベルトに代表される戦争を望む勢力と近衛文麿や『敗戦革命』を望む人たちによって起こされた日本にとっての悲劇だったのかもしれません。

第二次世界大戦の本当の勝者は、ソビエト連邦であるという話を聞いたこともあります。その話を聞いたときは、なぜなのか全く理解できませんでしたが、本書を読み終えた後、確かにそうなのかもしれない、という考えに至りました。第二次世界大戦後の共産主義の広がりを見ると、確かにそうなのかもしれません。ソビエト連邦は崩壊しましたが、実のところ共産主義というものがなくなったのではなく、今の世界は管理社会へと進んでおり、共産主義的思想に影響されてきています。

共産主義運動を広めたコミンテルンは、なぜ生じ、その背後にある存在の意図。米ソの冷戦構造からのソビエト連邦崩壊、そしてその後の中国の台頭。もしかすると日韓問題も含めた問題も同じような根っこにあるのかもしれない。

本書のエピローグに綴られている「平和」が「戦争」に負ける訳』の文中に、『「平和」の側が「戦争」の側以上にしたたかで周到でなければ「平和」は「戦争」に勝てないのです。平和を維持できないのです。これがシンプルですが冷然たる教訓です。』とあります。私はこの言葉は、厳しい話ではあるけど、真実だと思います。

こうした厳しい現実を知った後、自分は何ができるのだろうか、と考えてしまいます。そして、今の自分にできることは、真実を見極める力を持てるようになることではないか、という考えに至っています。偏った情報にとらわれず、右でもなく左でもなく中道を進めるようであることが、世界のシナリオに惑わされない自分の人生を生きることにつながるのかな、と思います。一人ひとりの意識向上が、世界平和に繋がることを信じ、まずは、自分自身の精神・魂を成長させていきたいものです。

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